2030年新学習指導要領の講演会を聴いてきました
- 2026.05.26
- 2030年学習新指導要領
株式会社かえでプロダクションは、小中高校生用の学習用教材・テストを執筆・編集する会社です。とても小さな業界ですが、若い世代が活躍できるような会社つくりを目指しています。現在、18名ですが、もっと増やしていけるように日々研鑽しております。
さて、5/20-23に開催された「EDIX東京」にて、2030年から始まる新学習指導要領についての講演会を聴講してきました。とても参考になる話もありましたので、聴講レビューをまとめたいと思います。
東京学芸大学副学長の堀田龍也さんによる「次期学習指導要領に向けた教育の情報化の最新動向」の講演会を聴講しました。満員御礼で1000人以上が参加していました。
堀田先生の専門科目が情報ということもあり、内容はデジタル・ICT関係が中心でした。生成AI、情報活用能力の育成、ネットリテラシーの学習、学習指導要領のWEB化、学力調査の端末活用、探求の学習の成果など、とても興味深い話を聴くことができました。
その中でも私が特に興味を持ったのは「小学校での情報」です。
「情報」といえば、大学入試で「情報」が必修化され、2030年の新学習指導要領では、中学校の技術家庭が、「情報技術」と「家庭」に分かれる話は周知の事実になってきましたが、小学校での「情報」については初めて聴きました。
文部科学省から「情報活用能力の抜本的な向上」を求められており、小学校の総合的な学習の時間に「情報の領域」が加わることになりそうです。ただの「改訂」ではなく、「抜本的」でないといけないと強調されていました。
例えば、現在、探求の時間でタイピングの練習をしているのですが、小3から「情報の領域」を取り入れ、早い段階でブラインドタッチをマスターさせたいようです。また、メディアリテラシーへの取り組みを行い、急激なスピードで広がるデジタル上での負への側面に対して、対応が求められているとのことでした。
また、おそらく「情報」はいずれ「情報Ⅰ」と「情報Ⅱ」になっていく可能性の示唆もされていました。
次に、文部科学省初等中等教育局教育課程課長の武藤久慶さんによる「次期学習指導要領の方向性と教育DX」の講演会も聴講しました。こちらも満員御礼で1000名以上の方が参加されていました。時折、ブラックジョークや笑いも取り入れつつ、講演会上手で慣れてるなという印象でした。
武藤さんは2030年の話ではなく、その次の2040年にはこうなるから、だから2030年の学習指導要領はこうするんだという内容の話でした。
例えば、2040年は、生成AIの普及により、生成AIを活用する側の人間が339万人不足し、事務職が437万人余ると予測されているので、イノベーション能力を向上させていく必要があるとのことです。
また、現在、日本国内にいる外国人の人口は396万人(労働者数含む)。2040年には1128万人にも増え、人口比で10%を占めるそうです。その子供たちが日本の学校に通い、日本語を学んでいない外国籍の子供たちが同じ学校にいる状態が当たり前になるとのこと。小中学校でも多様性が求められるようになり、教育の一元化は以前よりも難しくなりそうです。そこでGIGA端末やアプリを活用し、どのような生徒にも平等な教育が渡ることを当たり前としていきたいそうです。
さらに、「子ども基本法」ができたことにより、すべての子供について、意見を表明する機会や、社会的活動に参画する機会が確保されます。つまり、発達の程度に関係なく、子供の最善の利益を優先して考慮する必要があるとのことで、いわゆる「グレーゾーン」への対応が求められると話されていました。文部科学省の方から直接「グレーゾーン」の話を聴くのは初めてでしたので、私としてはとても驚きを感じました。
お二人とも共通している内容が、次の学習指導要領のキーワードは、「自らの人生を舵取りする力と、民主的で持続可能な社会の創り手を育成すること」です。
重要キーワードは「民主的」。周囲との協調をしつつ、個人の突破力も欲しいという、なかなかハードルの高い単語に感じます。
また、イノベーション能力…つまり、物事を革新的に変化・推進させる能力を持つ子供たちを育て、生成AIを使う側の人材の育成を目指したいようです。生成AIは既存のデータ収集をまとめる力がありますが、新しい物事を生み出す力はありません。その部分を人間が、日本人が行っていくことが目標のようです。
今回の講演会を聴講して、2030年から始まる新しい学習指導要領の方向性が、なんとなくうっすらと見えた気がしています。だからこそ、どんな教科書になっていくのか、楽しみ半分、不安半分で次の情報を待ちたいと思います。
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