2025年度中学数学教科書シェア率を計算してみました
- 2026.08.25
- 小学校・中学校教科書採択
株式会社かえでプロダクションは小中高校生用の学習参考書やテスト・入試の執筆・編集・校正といった制作を行っている会社です。
さて、教材編集の仕事をしていると、教科書についていろいろと気になることがあります。その一つが、
「今、日本で一番使われている教科書はどこの出版社なんだろう?」
ということです。昔は文部科学省から教科書の需要数が公表されており、出版社ごとのシェアを知ることができました。ところが、現在は出版社別の全国シェアがわかる資料は公表されていないようです。
…ないなら仕方ない。自分で調べてみよう。
ということで、今回は2025年度(令和7年度)の中学数学の教科書シェアを計算してみました。
まずは公立中学校から調べてみます。教科書の採択は、全国一律ではありません。例えば、同じ都道府県の中でも、A市では東京書籍、B市では啓林館、C市では数研出版ということがあります。そこで、全国の教科書採択情報を調べて、
「その地域では、どの出版社の中学数学の教科書を使っているのか」
を確認していきました。ただし、採択地区の「数」だけを数えても正確なシェアにはなりません。中学生が何万人もいる大都市も「1地区」、小さな町も「1地区」になってしまうからです。
次に、文部科学省の「学校基本調査」にある中学校の生徒数と組み合わせて、その出版社の教科書を使っていると思われる中学生が何人いるのかを計算しました。公立中学校の全国約283万人の中学生について、市区町村ごとの採択情報と生徒数をできる限り、突き合わせています。
その結果がこちら。
| 出版社 | 公立中学校の推定シェア |
|---|---|
| 東京書籍 | 40.4% |
| 啓林館 | 37.0% |
| 学校図書 | 9.1% |
| 教育出版 | 6.3% |
| 数研出版 | 4.0% |
| 日本文教出版 | 3.0% |
| 大日本図書 | 0.2% |
東京書籍と啓林館が圧倒的ですね。この2社だけで77.4%。公立中学校だけで考えると、4人に3人以上が東京書籍か啓林館の数学教科書を使っている計算になります。
でも、ちょっと待てよ…。ここまで計算して、気になったことがありました。
数研出版が4.0%しかない。
長年、学習用教材の編集の仕事をしている感覚からすると、「数研出版って、もう少し多くないか?」と思いました。
…となると、私立中学校です。数研出版の教科書を使っている私立中高一貫校はよく見かけます。今度は国立・私立中学校についても計算してみました。
結果は…やはり私立は数研出版が強かった!
調べてみると、予想以上でした。例えば、東京都の国立・私立中学校について、2025年度の数学教科書の採択出版社を学校数で調べると、数研出版が過半数となりました。大阪府でも私立中学校では数研出版の採択がかなり多く、ほかの地域でも同じような傾向が見られました。
公立中学校では4%程度だった数研出版が、私立中学校では全く違う存在感を持っています。
これは面白いですね。
そこで国立・私立中学校の推計値を加えて、全国の中学生について改めて計算してみました。その結果、2025年度の中学校数学の教科書の全国推定シェア率がこちらです。
| 順位 | 出版社 | 全国推定シェア |
| 1 | 東京書籍 | 38.0% |
| 2 | 啓林館 | 35.8% |
| 3 | 学校図書 | 8.7% |
| 4 | 数研出版 | 8.2% |
| 5 | 教育出版 | 6.1% |
| 6 | 日本文教出版 | 2.9% |
| 7 | 大日本図書 | 0.3% |
※国立・公立・私立中学校を対象とした独自推計です。義務教育学校後期課程、中等教育学校前期課程などは原則として含んでいません。
中学数学の教科書シェア率、全国1位は東京書籍の38.0%。2位は啓林館の35.8%。この2社だけで73.8%になります。
そして注目したいのが数研出版です。公立中学校だけでは4.0%だったのが、国立・私立を含めると8.2%まで上昇します。全国3位は学校図書の8.7%、4位は数研出版の8.2%としていますが、あくまで公開情報から推計をしたものなので、もしかすると3位と4位の差はほとんどないのかもしれないです…。
それにしても面白いのが、公立に強い出版社と、私立に強い出版社が違うということです。全国のシェア率だけを見ていると気づかないですが、改めて独自に計算をしてみると、新しい教科書の市場が見えてきました。
なお…、この数字は文部科学省や教科書出版社の公式発表ではないです。あくまで、文部科学省「令和7年度学校基本調査」の生徒数と、各都道府県や教育委員会、教科書供給会社などが公開している2025年度の教科書採択情報を組み合わせて、独自に計算したものです。
ただ、公立中学校については、市区町村ごとの採択出版社と生徒数をできる限り突き合わせました。国立・私立中学校については、学校別の採択情報がすべて同じ形式で公開されているわけではないため、一部に推計を含んでいます。
ですので、「2025年度の中学数学の教科書の全国推定シェア率」程度くらいに考えていただければと思います。あくまで参考資料ですね。
私自身、学習用教材の制作をする仕事をしていると、こういうまとまった資料がほしいなと思ってしまいます。教育関係者の中にも同じような興味を持たれている方もたくさんいるかもしれないと思い、ぼちぼちと計算をしてみました。
それなりに中学数学の計算ができたので、ほかの教科についても計算できそうです。また次の科目の計算ができましたら、ブログに書いてみたいと思います。
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