学参系編プロ業界について
- 2018.12.19
- 編プロ業界の話
私たち、かえでプロダクションは、小学生・中学生・高校生の学習参考書などの学習用教材を編集するプロダクションです。通称「学参系編プロ」といいます。
学参系編プロは、業界としては比較的新しく、規模自体もそこまで大きくありません。業界最大手とよばれる会社は東京や名古屋、大阪、兵庫にあり、おおよそ30~40名ほどの規模です。この業界ができるまで、編集や執筆の依頼先は個人で専業をしている方か、個人で副業で行っている方が多く、元出版社の人や、私立学校や予備校、学習塾の先生が出版社に登録をしていました。
私が開業したときも同じような状態で、開業当初、在宅スタッフを数多く集めることに注力したのを覚えています。当時、どれだけいい在宅スタッフを集められるかが学参系編プロの価値につながっていました。そのため、最初のころは、登録をいただいた在宅スタッフの方の家の近くまで出向き、直接、お会いしていろんな話を聞き、その人柄に触れ、業界の勉強をしてきました。
現在も似たような状況が続いていますが、年々、学参系の出版社は個人よりも学参系編プロのほうを選ばれる傾向があります。その理由としてはいくつかあります。
1:個人より法人のほうが事務手続きや経理処理、税金など、実務以外でのいろいろな面で効率が良い。
2:学参系編プロのほうがキャパシティーがある。
3:学参系編プロにシリーズものの一元管理をお願いできる。
4:実績のある個人の方が高齢化してきた。
5:諸問題のため、現役の先生を使いづらくなってきた。
6:何かあったときに法人のほうが対応できる。
などなど。もちろん個人のほうが学参系編プロよりも利点がある場合もありますが、その利点以上の利点が学参系編プロにあります。
また、近年の働き方改革の影響か、編集の仕事は徐々に細分化が進んでいます。出版社は企画をつくり、進行管理を行い、予定通り商品を発売することがメインであって、中身を直接つくる機会が減っています。そのため、中身をつくる編プロへの依頼率は年々、上昇傾向にあります。
つまり、学参系編プロはそれまでの出版社と個人をつなぐ仲介的な役割から、実際のモノづくりに直接的に携わることができる業界へと変化したと考えられます。
そこで、私はこの業界の存続維持と活性化をするためには、モノをつくりたい若い人たちをどんどん積極的に取り入れていくことが急務と考えるようになりました。出版社業界は全体的に保守的な業界ですが、かえでプロダクションだけでも門戸を開放し、いろんな方にチャンスを提供し、若い人たちの可能性を伸ばしていきたいという想いが私の中にあります。
現在、かえでプロダクションでは編集部社員の採用を行っておりますが、若い人たちがこの業界に入ってきやすいような制度をたくさん取り入れています。自分でいうのもなんですが…働きやすさや福利厚生面は大企業並…いや、それ以上の部分も多々あります。そうでないところもありますが…苦笑。
私の考えの一つに「いまはベストではない。ベストになるために動き続ける」というのがあります。これからもどんどん新しい制度、見たこともないような制度を取り入れて、業界を背負っていけるような学参系編プロを目指していきたいと思います。
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