横書きの教科書は読点が「、」になります
- 2022.12.16
- 編プロ業界の話
株式会社かえでプロダクションは、小学校・中学校・高校の教育に関わる教材の執筆・編集・制作を行っている会社です。テキストだけでなく、模試やテスト、WEBなどいろいろな教材に関わっています。
さて、編集作業をしていると、かなり細かいことが気になる性格になります。何気なく新聞やネットの記事を読んでいると、「あれ、これで合っているのかな」と突然気になり、調べ直しをします。例えば、「気遣い」と「気使い」の使い方の違いとか…。その話についてはまたいずれ触れるとして、今回は横書きの表記について、読点が変わる話です。
2022年1月、文化審議会は「公用文作成の考え方」を取りまとめ、文部科学大臣に建議しました。その中に、横書きの読点は「、」(テン)を用いることを原則とするとあります。
この影響により、2023年4月から使用する小学校の教科書は、すべて「、」に変わることになりそうです。いままでの横書きの読点は「,」だったので、全科目の読点が「、」に変わります。(国語は縦書きでもともと「、」を使っています)
…ということは、学習用教材も教科書に揃える必要が出てくるので、今回の教科書改訂でほとんどの教材において、「,」を「、」に修正する作業が入ってきます。「え、変えればいいだけじゃないの?」と思っている方、そうではないんです。変えるということは、「ちゃんと変わったかどうかの確認が必要になる」ということなんです。
変える作業そのものは、おそらく紙面のデータを作成している会社がインデザインの「置き換え」機能を使って、「,」を「、」に変換すると思います。ただ、これをすることにより、他の文字に影響が出たり、行がズレてしまったり、文頭文末が揃わなかったり、イラストが飛んだり、そもそも修正できていなかったり…いろんなことが起こる可能性が出てきます。
それをすべて、編集者である私たちが目で確認をする必要があります。体裁面に気が向きすぎると、内容面への注意が減ってしまうので、内容面を見る人と体裁面を見る人を分けて作業をする方が確実でしょう。今回の改訂期は小改訂とはいえ、気が抜けないですね。
ちなみに、私個人の話になりますが、「、」は「れてん」、「,」は「なみだてん」と呼んでいます。正しい読み方かどうか、知らんけど…。
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